Model-Basedシステムズエンジニアリング(MBSE)とは、“Model-Based”にシステムズエンジニアが「仕事を進めていくということ」にほかなりません。
システムズエンジニアは仕事を進めていく中で、さまざまな種類のモデルを用い、電算機(コンピューター)の力を最大限に活用しながら、非常に大規模で複雑な対象物に対して、
システムズエンジニアリングを効果的・効率的に実施するための手段が「MBSE」だと言えるでしょう。
今回は、「MBSE」とはどのようなものか、そのポイントを説明していきます。
○Model-Basedシステムズエンジニアリング(MBSE)とは?
- “Model-Based”にシステムズエンジニアが「仕事を進めていくということ」
- 「複数の専⾨分野を統合し開発を牽引」するのがシステムズエンジニア
- “モデル”とは「情報の構造体」
- MBSEを⽀える「セマンティック技術」
- システムズエンジニアの仕事を「セマンティック技術を活⽤し効率化・⾼度化」
Model-Basedシステムズエンジニアリング(MBSE)の特徴として、上記の通りまとめることができます。
どのような特徴を有しているのか、順番に解説していきましょう。
1.“Model-Based”にシステムズエンジニアが「仕事を進めていくということ」
- 数値解析やシミュレーションのことである、という誤解が⾮常に多い
- 「システムズエンジニアが電算機(コンピューター)の⼒も借りてより効果的、効率的に仕事をする」という解釈が最も適切
Model-Basedシステムズエンジニアリング(MBSE)とは、“Model-Based”にシステムズエンジニアが「仕事を進めていくということ」です。
数値解析やシミュレーションのことである、という誤解が⾮常に多くみられます。
しかし、システムズエンジニアがさまざまな種類のモデルを用い、電算機(コンピューター)の力を活用しながら、非常に大規模で複雑な対象物に対しても、システムズエンジニアリングを効果的・効率的に実施するための手段であると言えます。
2.「複数の専⾨分野を統合し開発を牽引」するのがシステムズエンジニア
- システムズエンジニアは、システムの⽬的、背景を明確化し、ライフサイクル、コンテキストなどの分析的な理解進め、システムの機能設計(ふるまい)・物理設計(実現⼿段)すなわちアーキテクチャの設計を行う
- また、システムのV&V(検証と妥当性確認)についても戦略性を持って計画、実施を⾏う
システムズエンジニアは、システムの⽬的や背景を明確化して、ライフサイクルやコンテキストなどの複数の視点によって、分析的な理解を進めていきます。
システムをデザインするために「システムの機能設計(ふるまい)」「物理設計(実現⼿段)」、すなわち『アーキテクチャの設計』を⾏います。
またそれだけではなく、システムのV&V(Verification & Validation)と呼ばれる、検証と妥当性の確認についても、戦略性を持って計画、実施していきます。
これが、システムズエンジニアの仕事なのです。
3.“モデル”とは「情報の構造体」
- モデル=数値解析モデル、という極⼩定義の誤解が⾮常に多い
- システムそのものに関する情報(設計、分析結果、判断基準など)、システム開発に関する情報(担当、⽇程など)、これら情報要素を互いの関係性とともに構造化し活⽤可能にした「情報の構造体」が“モデル”である
システムズエンジニアの仕事を“Model-Based”に行っていくことが『Model-Basedシステムズエンジニアリング(MBSE)』です。
「モデル=数値解析モデル」という極⼩定義の誤解が⾮常に多くみられますが、ここでの“モデル”とは『情報の構造体』のことを指します。
設計や分析結果、判断基準など、システムそのものに関する情報が含まれます。さらに担当や⽇程、コストなども、システム開発に関する情報に含まれています。
これらの情報要素を互いの関係性とともに、構造化して、電算機に打ち込み、それらを管理していくことが、“Model-Based”のモデルという意味になります。
4.MBSEを⽀える「セマンティック技術」
- 情報の意味を電算機にとって理解できる形で構造化し、電算機に情報収集や表⽰などの処理を⾏わせる技術
“Model-Based”にシステムズエンジニアリングを進めていく、MBSEを⽀える基本技術が「セマンティック技術」です。
「セマンティック技術」とは聞きなれない言葉かもしれませんが、電算機が情報の意味を理解できるようにし、人間の活動を支援できるようにするための技術のことです。
セマンティック技術を活用することによって、システムズエンジニアにとって必要な情報を適切に抽出することができます。
5.システムズエンジニアの仕事を「セマンティック技術を活⽤し効率化・⾼度化」
- ⾮常に⼤規模で複雑な対象物に対してもシステムズエンジニアリングを効果的、効率的に実施することができる
システムズエンジニアにとって必要な情報を、適切に抽出し、任意の形式で表示することで仕事を効率化し、高度化することができます。
これが『MBSE』であると言えます。
システムズエンジニアがさまざまな種類のモデルを用い、電算機の力を活用しながら、情報構造体を構築、活用しながら、非常に大規模で複雑な対象物に対して、 多くの専門部署や専門家を巻き込みながら、システムズエンジニアリングを効果的・効率的に実施するための手段が「MBSE」なのです。
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